佳子は彼女に用意したあるカルテに住所、氏名、年齢などを記入してもらうと
廊下を進み治療用の部屋を案内した。
カルテには「小林さとみ…25歳」と記してあった。
薄い水色のワンピースを着た彼女からは清楚な感じが漂っていた。
艶のある長い黒髪が肩まで流れていた。
目鼻立ちのはっきりしたその可愛らしい面持ちは実際の年齢より若く感じさせた。
白いシーツが敷いてある布団の横に正座した彼女は緊張しながら佳子の目を見つめていた。
「どこが痛いのかしら…」
「……あの…」
「ええ…」
佳子は緊張している彼女の気持ちを解すように笑顔を浮かべた。
「あの…」
「……不順なんです」
声を詰まらせながら彼女は小さな声で言った。
「生理…?」
「…はい」
「病院には…?」
「いくつか行ったのですが…精神的なものだって薬をくれるんですが…」
「あまり効かない…」
「ええ…」
彼女は顔を少し赤くさせて言った。
佳子は彼女を相手したのが同じ女性である自分で良かったと思った。
もし男性である祐造が玄関口に出ていたら大人しい彼女の性格からして
帰ってしまうところであったと感じた。
「どうして…うちを選んだの…?」
「いつも…前を通って気功の看板を目にしていたんで気になって…」
「そう…」
「気功じゃ…無理ですか…?」
「大丈夫よ…良くなります…」
「本当に…」
緊張していた彼女が少し笑顔が浮かんだのを佳子の目に映った。
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