杉本さんに…協力していただきたいのです」
「……な…何を…ですか?」
どんなに場面でも緊張する事無く表情一つ変えず冷淡に振舞っていた優香であったが
研究員に聞き返す声はうわずり震えていた。
「データー…測定に……お願いします…」
「………。」
優香の脚はテーブルの下で小刻みに震えていた。
自分がプロジェクトに参加しどんな役目を担う事を幹部達や目の前にいる研究員らに
何を期待されているのか実感し驚愕した感情を表にださぬように必死に耐えていた。
「お願いします…」
研究員達が揃って優香に向かい深々と頭を下げた。
優香は究極の選択を迫られていた。
ここで断ればこれまで積み上げてきたキャリアや信用が崩れ去り目の前にぶらさがった
大企業の管理職の座が吹き飛んでしまう。
しかし…
データーを測定するのに自分がどんな恥辱的仕打ちを受けるのかも十分知っていた。
「杉本さん…どうか協力して下さい…私達のクビもかかっているんです…」
「お願いします…お願いします…」
研究員達は何度も何度も頭を下げ頼みこんだ。
優香は深呼吸しいつもと同じように冷静に言葉を発した。
「分かりました…協力させていただきます」
(もう…普通のOLは嫌…私は出世して…立場も収入も一流になるの)
「あ…ありがとうございます…」
研究員達は半ば諦めていた為、優香が承諾した事に驚きを隠しながら
何度も感謝の言葉を繰り返していた。
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