それというのも市内でも規模の大きさなら1・2を争うほどのある有料老人ホーム
を管理していた会社が経営難から倒産しその余波を受け規模の縮小を
余儀無くされたホームから大量の老人が市内の借家に移り住む事となり
当初予定していた在宅介護担当ボランティア数ではとても間に合わないと
センターは応募してきた希望者を全て採用する事を急遽決めたのだった。
「嫌だ…私っ…採用されちゃった!」
香菜子は採用決定の通知に驚きそして慌てた。
通信教育で学んだだけの香菜子には実際の介護経験は無かった。
(大丈夫かなぁぁぁ…)
少しの不安を感じた香菜子であったがせっかくだからとやってみることにしてみた。
「岡島…何て言うんだい…」
「香菜子…です」
「香菜子さん…ね…」
今年で71歳になる柴田喜一は目を細めた。
ホームから追いやられ身寄りの無い喜一はこの木造の古い借家に移り住んでいた。
この地区を担当とする民生委員の他に来訪者は無く喜一の生活はすぐに荒んでいった。
民生委員からの強い要請によって人員不足のボランティアセンターに登録していた
香菜子はまったくの新人にも関わらず担当を負かされたのだった。
←クリック応援をお願いいたします(*v.v)