「おはよう。。」
美奈子が朝食の準備をしている傍に寝ぐせ頭の靖男が現れた。
「ねぇ…インターネットって面白いね」
湯気の立つ熱い味噌汁をすする靖男に美奈子が話し掛けた。
「だろっ…だからそう言ったじゃないか…うんうん」
靖男はうれしそうな顔をして笑った。
靖男は靖男で最近夫婦の営みを断っている後ろめたさがあり退屈している美奈子に
何か夢中になれるものがあれば…と考えていたので喜んでいた。
「料金なんて気にしないで…ドンドン楽しめ」
「いいの?」
「ああ…お前が楽しんでくれるなら俺もうれしいから…」
「ありがとう…私…はまっちゃいそう」
「良かったな」
靖男は笑顔で言った。
靖男が出勤してから洗濯掃除と家事を美奈子はテキパキと要領良くこなしていった。
昼過ぎに夕食の買い物に出た美奈子は本屋の前で立ち止まった。
(インターネットの本ないかな…)
美奈子は店内を見て回りコンピュータ関連のコーナーに止まった。
多くのパソコン雑誌が並んでいるので美奈子は何を買ったらいいか迷っていたが
やがてインターネット初心者向けの一冊を選ぶとレジに持っていった。
「ふーん…ここをこうして…」
「あ…本当だ。すごーい」
家に戻った美奈子はテーブルの上のパソコンと
本屋で買った雑誌を交互に見ては一人ではしゃいで時にはうれしそうに手を叩いていた。
それからというもの美奈子は早く寝てしまう靖男に対して不満を抱くこともなく
好きなフレーバーの紅茶を入れるとパソコンのスイッチを入れていた。
「チャット…」
新たに買った雑誌にはチャットの特集が組まれていた。
「ふーん…これは面白そう」
あらかた特集記事を読んだ試しに書いてあるアドレスを入力してみた。
「わぁぁ…本当…これ誰かが書いているんだ」
次々と更新されていくログを見て美奈子はTVの生番組を見ているような気になった。
「……私も入ってみようかな」
美奈子は女性限定の初心者向けチャットに「みなこ」と自分の名前をいれて入室した。
みなこ:「こんばんは…チャット初めてなのでよろしくお願いします」
ユカ :「はじめまして…」
ひろ :「ようこそ…」
美奈子は自分が打った文に2人が反応してくれたのがうれしかった。
そこで美奈子は親切、丁寧にチャットの仕方やルールなどを学んでいった。
みなこ:「おやすみなさい。今日はありがとうございました」
AM1時をまわり他の2人に挨拶した美奈子はチャットルームから退室した。
「これ…面白い」
美奈子はそれ以来度々ここを訪れては見知らぬメンバーと画面で会話していた。
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