涼子が、「デグリット」という小さな村の存在を知ったのは、高校3年の時であった。
たまたま教科書に昔ながらの生活様式を守っている小さな農村の事が写真をまじえて記載して
いるのを目にして興味を持ち、大学に入ってから友人達との海外旅行を何度か経験するようになってから、「デグリット」村を訪れたい気持ちが強くなっていき、この夏ようやくその夢は実現したのだった。
午前10時に出発したバスは、のどかな田園風景が広がる風景を進み行った。
昼を過ぎてもその光景は変わらず空腹を覚えた涼子は他の乗客達と同じように売店で買ったパンを口にしていた。白人達は唯一の日本人乗客である涼子に興味を持ち、色々と話しかけてきたが英語が苦手な涼子は、話しの内容の半分も理解できずにただ曖昧な笑顔でうなずき続けていた。
日が落ちてすっかり夜になった頃、バスは目的地である「デグリット」村に到着した。
村唯一のバス乗り場には多少の街灯が灯り不便さを感じなかった涼子であったが、一歩そこから離れた路地を歩くと月明かりだけがたよりとなり、本当に21世紀の国なのか信じられなかった。
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