「こりゃ…すごい…」
雄蔵はバス停から15分ほど山道を歩き雄蔵の前に桜王子学園「桃花」女子寮が現れた。
「桃花」女子寮は古い洋館をそのまま寮として使っていた。
「ここで…働くのか…よし!」門の前で雄蔵は自分に向かって気合を入れた。
着て早々配電盤の修理をしていた雄蔵は寮生と顔を合わせる事が出来なった。
朝と夕の食事作りを担当している近所に住むパートの沢川カヨと
雄蔵は食器の片付けをしながら彼女らについて話していた。
カヨの話によるとそこで寮生活を送っている生徒は2人だけであった。
(二人だけだったらなんとかなるかもな…)
「まぁね…でもお嬢様育ちだから…何も片付けないし…」
「はぁ…」
「こっちの存在なんて…全然意識されてないんだよ…」
この寮に勤めて長いカヨは手際良く後片付けをこなしながら話していた。
「あんた…寮の仕事やった事あんの?」
「い…いいえ初めてなんです。」
「そぅ…」
カヨは値踏みするように雄蔵の顔をまじまじと見た。
「大変なんですか?」
「まぁ…ね…ククククク…」
雄蔵に向けてカヨは含み笑いを浮かべた。
「………。」
雄蔵はカヨの意味深な笑いに不安を隠しきれなかった。
「まぁ…そのうち慣れるよ…ハイッ…これでおしまいっ」
カヨは洗い終わった皿を雄蔵に手渡すと年季の入ったエプロンを首から抜いた。
「仕事の内容…あんた聞いてる?」
「あの…雑用って…」
「そう…まぁ雑用に変わり無いな…クククククク…」
カヨは再び声を殺して笑った。
「そこのテーブルに…仕事のスケジュールが載ったのがあるから後で読んでおきな」
「は…はい…」
雄蔵はテーブルの端に置いてある染みだらけのファイルがあるのを目にした。
カヨは自分の仕事が終わると、とっとと自転車で帰っていった。
「ふぅぅぅぅ…終わった…」
1人になったファイルを手に雄蔵は自分の部屋にいった。
部屋内にはすでに送っておいた自分の荷物が入ったダンボールが積まれていた。
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