倉木麻衣子は防衛大学を卒業後、政府要人防護特殊部隊の訓練生として長野山中奥深くに位置する第12特別訓練施設にこの春配属され人里離れた山奥で麻衣子は12ヶ月間に及ぶ訓練を受ける事となっていた。
麻衣子が配属されるまで男の聖域であった第12特訓にはもちろん麻衣子以外に女性の姿が無く就寝用の個室と時間で割り当てらる入浴時間以外は同じように訓練を受ける男達と同様に扱われていた。全国各地から集まった男達は各駐屯地で経験を積んだ者達ばかりで猛者ともいえるゴツイ男達ばかりであった。
初の女性訓練生としてしかも新卒の麻衣子が配属されたのは異例中の異例であったが防衛費拡大を考えている防衛庁が世間からの非難の矛先を逸らす為に昨今、盛り上がっている男性だけの社会への女性参加を積極サポートしている防衛省のイメージをつくっておきたいという思惑があったのだった。
しかしそんな麻衣子の事を面白くなく思ってるのは訓練に参加している男達だけでなく指導にあたる教官達も同じように麻衣子を見ていた。
「ほら…倉木ぃ…しっかりと体を起こさんかぁ…」
「はい!」
麻衣子は渾身の力を込めて49回目の腕立て伏せをこなそうとしていた。
すでに規定数をこなした他の男達は腕をプルプル震わせて体を起こそうとする麻衣子の姿をへらへら笑いながら見つめていた。
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